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2006年01月05日

CES 開幕

時差ぼけでいつもより早起きしたこともあるが、頭を休暇モードからスイッチするためにニュースをざっと読んでいると、コンシューマー系 IT 展示会として有名な CES 開幕にむけたニュースが目に付く。

そのなかでも、CNET JAPAN の記事が分量も多く、事前の全体感を伝えている様子。

今年のCESはビデオ関連の話題が目玉に

また、個別の細かな点については日経 IT Pro が詳しいようです。

【CES2006】「前々夜祭」で公開されたCESの注目製品とは

記事を読んでいると、去年から個人的にキーワードにしている「融合 (Convergence)」という視点でものをみてしまいます。エンターテイメントとコンピューティング、放送と通信などがわかりやすい例なのですが、いずれのプレーヤーもこの先に起こる「融合」に対して各自のスタンスで向かっているように思えてならないのです。これまでばらばらだったものが、反発や反動も併せて飲み込みながら、混ぜあって溶け合っていくようなイメージで。

今年は Microsoft のビル・ゲイツだけではなくて、Google の共同創設者ラリー・ペイジや Yahoo! の CEO も講演するようで、新年早々(?)なにが起こるか楽しみです。

2006年01月11日

車載用 Google Earth から Google Smart Phone へ?

ここ最近ばたばたしていて、CES のニュースをちゃんと読み込めていないので、時系列で逆順に読みながら思いつくままにクリッピング。

CES のラリー・ペイジによる基調講演のニュースによると、Google がフォルクスワーゲンと共同で車載用 Google Earth のプロトタイプ開発に取り組んでいるとのこと。

グーグルのL・ペイジ、CESで基調講演--ロボットカーやR・ウィリアムズも登場

Stanleyから降り立ったPageは、その後「Google Earth」のデモンストレーション用ビデオを披露した。地球上を目の回るような速度で移動するその映像に、観衆の間から歓声が上がった。Pageによると、Googleでは現在Volkswagenと共同で、車載用Google Earthのプロトタイプ開発に取り組んでいるという。

グーグルについては、Google PC を開発しているという噂があるけれど、僕は Google Smart Phone(携帯端末)のほうが可能性が高いと思っている。それは単純に、PC より携帯電話のほうが利用者数(=出荷台数)が多くなるからという、根拠なしの思い込みである。また、サンフランシスコやマウンテンビューで展開している WiFi サービスは、携帯端末の実験場ではないかと邪推している。

あとは、上記のような車載用 Google Earth の開発などから、ユーザインタフェイスなどを Google Smart Phone へフィードバックするんじゃないかと夢想してみたり……

LG のカナダ向け携帯電話

CNET Japan の特集で CES で発表された主に韓国メーカーのさまざまな形状の携帯電話が取り上げられている。

フォトレポート:CESに登場した世界のユニーク携帯電話

あまり目新しいものは無いのだけれど、ちょっと気になったのはこの LG のカナダ向け CDMA 端末のキー配置。

QWERTY 配列でもなく、数字キーだけでもなく、単純だけれど新しいアルファベットキーの配列。新しいユーザインタフェイスの登場となるのでしょうか?

2006年01月16日

NTT ドコモが HSDPA で定額制って、そりゃないだろう。

FujiSankei Business i に、今夏の提供開始が予定されている NTT ドコモの HSDPA ベースのサービスで定額制のサービスの提供を決めたというニュースがある。

NTTドコモ データ通信に定額制 無線ネットが使い放題

中村維夫社長は、HS-DPAの導入にともない、「データ通信の本質は定額制。当然考えなければいけない」とし、使った分だけ料金を支払う従量制と定額制の二本立ての料金体系を検討していることを示した。

<中略>

HS-DPAは今夏にボーダフォンも導入予定。KDDIのauもデータ通信の高速化を予定している。また、年内にアイピー・モバイルが、また来年以降にイー・アクセスとソフトバンクが、新規参入する携帯電話事業でパソコンにつないでの高速データ通信サービスに定額制を導入する見通し。ドコモの定額制導入はこうした新規参入組を牽制(けんせい)する狙いもある。

ドコモが定額制を導入した場合、それはソフトバンク、イーアクセス、アイピーモバイルのような新規参入組を牽制するのではなく、引くに引けない状況を作り出して自らモバイル市場を泥沼化する一方だと思うのだが、そういうふうに指摘することって、マスメディアではまず見かけない。だいたい、ソフトバンクもイーアクセスも長い目で見て携帯ビジネスを展開するといっているが、あれっぽっちの周波数帯域しか割り当ててもらえなかったら、どこまで本気でやる気があるのかなんともいえないと思うのだが。そういう指摘もあまり見かけない。

NTT ドコモや KDDI (au) にとっては、今のうちに電波開放&新規参入政策をやわらかくつぶせるオプションを検討し、打てる手を打っておくことは必要だろう。

また、データ通信の裏側には、Skype やら Google Talk のような、従来の電話サービスとは異なるビジネススキームをもった無料の電話サービスの仕組みが控えているわけで、NTT ドコモがデータ通信の定額制化によって、これらの無料電話サービス普及への先鞭をつけるとも思えない。

端末を囲い込んでいるから大丈夫といっていても、ソフトバンク、イーアクセス、アイピーモバイルのような新規参入組がオープンな端末戦略にシフトしない可能性がないわけでもないし、さらにはこの後電波の割り当てが予定されているモバイル WiMAX についてはオープンな端末戦略になる可能性のほうが高いわけだから、NTT ドコモ的にはまだまだ従量制で ARPU を下げないようにするほうが正しい戦略なのでは、と。

従量制から定額制にシフトするタイミングはもう少し先のことだと思っている(思っていた)のだが、その時期がもう来てしまったのだったら、「そりゃないだろう」とつぶやく人はいろんなところにいるような気がする。

2006年01月21日

802.20 のドラフト案に QUALCOMM と京セラ案が採用に

今週のワイヤレス関係のニュースのクリッピングを、エントリを分けて。

日経 Tech-On! に IEEE 802.20 のドラフト案に QUALCOMM と京セラ案が採用になったというニュースが 1/19 に出ていた。

IEEEの次世代モバイル規格「802.20」,米QUALCOMM社と京セラの提案方式を採用へ

IEEE802.20は別名MBWA(Mobile Broadband Wireless Access)とも呼ばれるもので,時速100kmを超える高速移動体にも高速の無線インターネット・サービスを提供するコンセプトで規格策定が進んでいた。2002年から作業部会での討議が始まっていたが,このほど伝送方式案を1本化する投票を行ったもの。その結果FDD(frequency division duplex)モードにQUALCOMM社の技術提案「MBFDD」が,そしてTDD(time division duplex)モードについてはQUALCOMM社と京セラの統合案の「MBTDD」(MBTDD 625k-MC(BEST-WINE)モードを含む)で認められた。一部で強行に反対する陣営もあったが,投票結果は大差での賛成となった。

「2002年から作業部会での討議が始まっていたが」とあるが、昨年(2005 年)はこの 802.20 ワーキンググループでの議論はほとんどなされていなかったと聞いている。だが、ようやくドラフト案を作るためのベース技術が固まったということ。

この分野は既に同じIEEE の 802.16e で議論されてきたモバイル WiMAX が昨年末に 802.16-2005 として標準化を完了しており、サムソンの協力の元で韓国版モバイル WiMAX である WiBro を使用して、テレコムイタリアが 2006/2/10 - 26 に開催されるトリノオリンピックのスキー場でトライヤルを実施したり、日本では総務省のワイヤレスブロードバンド推進研究会において2.5GHz をモバイル WiMAX 等の広帯域移動無線アクセスシステムに向けて割り当てようという議論結果が出されていたりと、実環境での利用に向けて各種作業が進んでいるわけだが、いまさら良く似た技術の標準化議論を同じ IEEE で開始してどうするのだろう、と思う。

CDMA の特許を押さえていて(=主戦場は 3G を決めた ITU)携帯電話側のプレーヤーである QUALCOMM が IEEE も押さえたいということなんだろうなあ、と。そないにうまいこといくもんかいな。

ワイヤレス技術の標準化:分裂と統合

今週は IEEE の会議がハワイであったので、IEEE 関係のニュースが多い。

まずは分裂のほうから。

IEEE802.15 の TG3a タスクグループで議論されていた UWB を使用した無線方式の標準化作業を断念することを決めた。

米IEEEのUWB標準化作業,合意得られずついに解散へ

米Intel Corp.などが推進するWiMedia(マルチバンドOFDM方式)と,米Freescale Semiconductor Inc.などが中心のDS-UWB方式という2方式の対立が長引き,予想を大きく上回る時間が経過しながらも,ドラフト案の一本化を達成できずにいた。

<中略>

既にFreescale社はUWB用チップセットを発売済みであり,またWiMedia陣営も「Certified Wireless USB」に向けたチップセットを市場投入する段階に達している。「これ以上標準化の議論をしていても埒が明かない。市場でデファクトを取るほうがよっぽど早い」(ある半導体メーカーの技術者)といった声が多くなってきていることが,解散案の提出につながったもようである。

おそらく家電系は DS-UWB で、コンピュータ系が WiMedia という風に分かれて、市場で戦いましょうということになるのでしょう。

ついで、統合のほうを。

IEEE802.11n で議論されていた MIMO (Multi Input Multi Output) を使用した無線 LAN の高速化技術のドラフト案が承認され、今後修正を重ねて、1年後の標準化完了を目標とすることになった。

高速版Wi-Fi規格「802.11n」、IEEEがドラフトを承認

802.11nの作業部会は米国時間19日、米ハワイで開催された会合で、同規格の最初のドラフトを承認した。

<中略>

802.11nが登場すれば、ノートPCユーザーは現行の802.11gよりもはるかに高速な無線LANを利用できる。802.11nでは MIMO(Multiple Input/Multiple Output)を用いる。MIMOは複数のアンテナを利用してデータを送受信する技術で、各アンテナは複数のデータ信号を同時に処理できる。

<中略>

また、802.11nをサポートしたチップを搭載した製品は、802.11a/b/gとの互換性も実現する予定だ。

同じ CNET の記事に詳しいのだが(高速版Wi-Fi規格「802.11n」、標準化作業が正常化へ)802.11n では、Airgo の提出した案と Intel が中心になってまとめた案が対立していた。Airgo Networks は MIMO ベースのチップを現在発売中の唯一のベンダーで、その技術をベースに提案していたのだが、どうやら Intel が中心になってまとめた Enhanced Wireless Consortium (EWC) という団体で議論された提案をベースに、今回のドラフト案承認となった模様。

一本化されたという点は評価できるが、すでに市場に製品を出荷している Airgo はどうするのだろう?また、Airgo のチップをつかった無線LAN アクセスポイントってコレガやプラネックスからすでに発売されているのだが、ああいう機器はどうなるのだろう?

初めての WiMAX 認定製品が発表される by WiMAX Forum

ホントに今週はワイヤレスネットワーク関連のニュースが多いような気が……

unstrung.com や日経 ITPro でも伝えられている通り、WiMAX フォーラムによって規格準拠と相互運用性の点で認定された WiMAX 機器4種類が発表されました。

WiMax Gear Approved for Market

The first round of certification tests have been completed, and base stations from Aperto Networks , Redline Communications Inc. , and Sequans Communications , plus Wavesat Wireless Inc. 's customer equipment have got the seal of approval from the WiMAX Forum .

The testing process went on until the final minute, lasting well into the night on Wednesday. But the completion of the first round of certifications means that initial WiMax gear should be on the streets within months.

WiMAX Forum,WiMAX規格に準拠した初の認定製品を発表

無線ブロードバンド規格WiMAXを推進するWiMAX Forumは,同規格への準拠と相互運用性のテストで初めて認定を受けた4製品を米国時間1月19日に発表した。テストは,WiMAX対応製品の認証プログラム「WiMAX Forum Certified」を通じて行なわれた。

認証テストに合格したのは,米Aperto Networksのベース・ステーション「PacketMAX 5000」,米Redline Communicationsのベース・ステーション「RedMAX AN-100U」,仏Sequans Communicationsのベース・ステーション参照デザイン「SQN2010 SoC」,カナダWavesatの顧客宅内機器(CPE)「miniMAX」。これら4製品は,3.5GHz帯域を利用している。

なお、WiMAX フォーラムが提案している地域別の周波数割り当てプランによると、米国以外の地域に 3.5GHz が挙がっている(日本は 3.5GHz の再割り当てはまだまだ先のこと……)。次の地図は WiMAX フォーラムのプレゼンテーション資料から切り出したもの。

radioallocation_by_wimaxforum_06_0002

日本の場合、固定用の WiMAX を飛び越して、2.5GHz でのモバイル WiMAX ベースのサービスが開始される可能性が高いはずです。このため WiMAX フォーラムが 802.16-2005 (旧 802.16e) の認定プログラムをいつから開始するかが注目されるでしょう。

WiMAX 関係のイベントとしては 2 月に WiMAX Summit が、3 月に相互接続のイベント "Plugfest" がそれぞれフランスで開催されます。このタイミングで何か出てくればいいのですが。

2006年01月22日

IEEE 802.11nドラフト仕様準拠のチップセット by Broadcom

昨日 802.11n のドラフト仕様が固まった、というエントリを書きましたが、早速ブロードコムからドラフト仕様準拠のチップセットが発表されたようです。

ブロードコム、IEEE 802.11nドラフト仕様準拠のWi-Fiソリューションを発表

ブロードコムは1月19日、IEEE 802.11nドラフト仕様に準拠した初のソリューションとなる無線LAN(WLAN)チップセットファミリ「Intensi-fi」の出荷を開始したことを発表した。Intensi-fiチップセットは、現在サンプル出荷中。

Intensi-fiは、IEEE 802.11nドラフト仕様で定められた必須要素をすべて取り込んでおり、標準化作業が完了次第、正式な最終仕様にソフトウェアアップデートできるよう設計されている。

どのベンダーも「標準化作業が完了次第、正式な最終仕様にソフトウェアアップデートできるよう設計」するのだろうから、そこでの競争を考えるとチップベンダーも大変ですね……

2006年01月24日

モバイル TV (over IP) のためのワイヤレスにおけるマルチキャストってそんなに難しいか?

CNET JAPAN にアイピーモバイルも採用を予定している IP Wireless がモバイル TV のために新しい技術を公開したというニュースが出ている。

米新興企業、モバイルTVのための新しい仕組みを確立--3G用周波数を使用

Sprint Nextelが一部資金を援助する新興企業IPWirelessによれば、同社の技術を使用すれば、携帯電話事業者は既存の3G用周波数を使用してテレビ番組を大量に伝送できるようになるという。

携帯電話業界向けにチップや無線機器を製造するIPWirelessは先週、「TDtv」と称する技術を発表した。同社によると、この技術を使用すれば既存の3G用周波数帯でも十分な容量が確保でき、携帯電話事業者はテレビ番組の伝送のために別のオーバーレイネットワークを用意する必要がなくなるという。

<中略>

3G無線網は、信号が単一の送信者から単一の受信者まで伝送されることを意味する「ユニキャスト」を想定して設計されているのである。これは、異なる利用者がテレビを視聴しようとするたびに、同じコンテンツがネットワーク上で再送信される必要があることを意味する。これにより貴重な周波数が使い果たされてしまう。

<中略>

IPWirelessはモバイルテレビの問題を解決するために異なるアプローチをとった。同社は別のネットワークを構築する代わりに、ラップトップPCやその他のインターネット機器に高速無線アクセスを提供するUMTS TD-CDMA規格を採用し、これにより無線信号をユニキャストではなくマルチキャストで伝送できるようにした。

今の 3G が回線交換モデルをベースに作られていることを考えたら「『ユニキャスト』を想定して設計されている」なーんていうのは当たり前のこと。わざわざ指摘するまでもないと思うけれど。

で、All IP なネットワークを構築できる TD-CDMA やその他の仕組み(多分モバイル WiMAX も含まれるかと)であれば、この記事で取り上げられている IP Wireless の "TDtv" でなくともマルチキャストに対応したワイヤレスネットワークを作るのはそんなに難しいことではないと思うのだけれど、それもどうかと。

でも、この記事を読んだだけでは汲み取れない部分はたぶんにあると思われたりして、その点に立脚してみればアイピーモバイルは "TDtv" の機能を充分に使って「放送と通信の融合」分野に躍り出てくるのかもと、いささか妄想性を豊かにしてみたりして……

2006年01月28日

NTTドコモは,Windows Mobile 5.0 搭載のFOMA端末を10月にも提供することを表明

元記事は W-ZERO3 のシルバーモデルが登場するというものなのですが。

1カ月で5万台売れた「W-ZERO3」,シルバー・モデルが3月登場:IT Pro

W-ZERO3のヒットを背景に,Windows Mobile 5.0を採用した電話端末は今後も増えていく模様。NTTドコモは,同OS搭載のFOMA端末を10月にも提供することを表明している。

M1000 から買い替える人も結構多いのかも……

ウィルコム:次世代 PHS 実験と PHS 高速化開始でも 2.5GHz 帯獲得は難しいのでは

2.5GHz の開放に向けて、ウィルコムがいろいろ仕掛けていますね。

2.5GHz帯への展開をアピール,ウィルコムが次世代PHSの実験免許:IT Pro

ウィルコムは1月27日,現在より高速な通信を可能にする「次世代PHSシステム」の実用化に向け,実験局免許を取得したと発表した。同社は,2005年11月に予備免許を取得(関連記事)。実証実験を始める準備を進めていた。

周波数は2.3GHz帯の5MHz幅を利用し,ウィルコム本社の屋上と屋内に,アンテナと基地局設備を設置して実験する。実験期間は1年間の予定で,システムのスループットや伝搬特性などを評価する。この実験は第1期試験で,結果を踏まえて装置を改良した後,さらに詳細な評価を目的とした第2期試験の実施も検討している。

<中略>

なお,ウィルコムが本日発表した高度化PHS規格「W-OAM」と次世代PHSは全くの別物。W-OAMが現行PHSの方式改善で高速化を実現しているのに対し,次世代PHSは通信方式を根本的に見直す。そのため1.9GHz帯とは別の周波数帯の獲得が,商用サービスのためには必須となる。

ウィルコム、通信速度を最大408kbpsに向上--月額料金は変わらず - CNET Japan

ウィルコムは1月27日、通信速度を向上させる新しいPHS通信規格「W-OAM」を採用すると発表した。これにより、通信速度が最大408kbpsに向上する。利用には専用の端末が必要となるが、月額利用料金は変わらない。2月下旬よりサービスを開始する。

W-OAMはWILLCOM Optimized Adaptive Modulationの略で、ウィルコムが独自に開発したものだ。電波の状態に応じてより高速な変調方式を自動的に選択する。これまではQPSKと呼ばれる変調方式を使っていたが、W-OAMではこれに加えて、電波が良い環境ではより高速な8PSKと呼ばれる変調方式を使う。また、電波の悪い環境では通信速度が遅いものの、安定性の高いBPSKと呼ばれる変調方式を使う。

日本産の通信技術である PHS を発展させるというストーリーはよいですが、外資ファンドであるカーライル 60% の資本を持つウィルコムに、新しいサービスを拓くための新しい周波数帯を与えるのは難しいんじゃないかな。

2006年01月31日

日本のメーカーに必要なのは安易に「自らの原点に立ち返る」ことじゃないんじゃない?

日ごろぱらぱら眺めている「日経エレクトロニクス」という雑誌は、通信系の技術に限らず、エレクトロニクスの領域については話が早いので、専門じゃないところが多い=わからないところが多いなりにも、重宝しているわけです。

で、この「日経エレクトロニクス」が運営する "tech-on" というサイトがあります。そこのコラム(「ブログ」といってるがトラバも打てないし、コメントも検閲が入るので「ブログ」とは呼べないんじゃあ……)のバックナンバーに「日米あべこべ考」と題したものがあり、たまたま何かを検索している時に通りかかって読みました。

日本のメーカーの凋落ぶりを憂いている風なコラムなのですが、ちょっとひっかかったのでご紹介(?)。

日米あべこべ考

以下はそのコラムの終盤部分です。

 日米で異なる感覚の,どちらが正しいということは一概に言えない。冒頭の略語の読み方など,要は通じればいいのである。日本には日本のやり方,米国には米国の流儀がある。それでいいじゃないか。ただし,世界市場を相手にした製品の作り方という視点を持ち込むと,ちょっと話が変わってくる。製品の大きさや値段に対するとらえ方は,どうやら米国流が世界標準のようだ。実際,このところ米国メーカーは,小ささ・薄さや安さが特徴の製品で,世界でヒットを飛ばしている。米Apple Computer, Inc.の音楽プレーヤ「iPod nano」や,米Motorola Inc.の携帯電話機「RAZR」などである。

 どうにも腑に落ちないのは,小型の端末にしても,安価な製品にしても,かつては日本メーカーの十八番だったことだ。「安くて小さい製品が得意なのは,日本と米国のどちらのメーカーですか」。この問いに対して,昔の日本人は間違いなく日本と答えたにはずである。少なくともバブル期以前には。

 現在の日本メーカーの凋落ぶりを嘆く声は多い。苦境を脱する策は,次から次へと現れる。そのいくつかは,理屈ばかりが先行し,実践上は空回りしているように見える。そんなときに必要なのは,自らの原点に立ち返ることではないだろうか。

うーん……

違和感があるのは、まず「このところ米国メーカーは,小ささ・薄さや安さが特徴の製品で,世界でヒットを飛ばしている」とあるところ。iPod nano も RAZR もヒットを飛ばしている本質は「小ささ・薄さや安さ」じゃない。そこを見間違えてはいけないじゃないかな。「小ささ・薄さや安さ」は単純に製品のフレーバーでしかないはず。ものづくりにどっぷりつかってしまうと「小ささ・薄さや安さ」といった物理的な特徴・特性があるから売れると思ってしまうのかねぇ。iPod も RAZR も、ネットにつながってサービスが受けられるという、利用者の行動パターンをフィードバックした製品+サービスだから売れているんじゃないのかね?

もう一つ。

「かつては日本メーカーの十八番だった……自らの原点に立ち返ることではないだろうか」って、安易に過去の十八番に戻るがよいのかな?この文章から感じられるのは、「自らの原点に立ち返ること」というのは、「メーカー」として日本的特徴を持ったモノを作り出す立ち位置に帰ることを促しているように読めるけれど、はたして安易にそこに帰ることが一番必要なことかな?今必要なのは、そうした安易な先祖がえりではなく、自分が見なければいけないもの(例:利用者、顧客)をしっかり見て、十分に頭を使って、なにかを作り出していくことじゃないのか、と。

(まあ、『スティーブ・ジョブズ-偶像復活』を読む限りでは iPod はある種の個人的な執念から生まれて出てきたような気がするけれど……)

スティーブ・ジョブズ-偶像復活
ジェフリー・S・ヤング ウィリアム・L・サイモン 井口 耕二
東洋経済新報社 (2005/11/05)
おすすめ度の平均: 5
5 勉強になります。

あと、読んでいて思いを新たにしたのは、先入観(例:米国人は体が大きいから,日本と比べて大振りの製品が売れる、とか、安価な製品は日本メーカーの十八番だ、とか)にとらわれないこと。エンジニアだろうが、マーケーターだろうが、アントレプレナーだろうが、普通のビジネスマンだろうが、一番怖いのは視座が固まり、視野が狭まり、思考が固定化すること、というのを忘れてはいけないな、と。

このコラムにはコメント欄があって、そこでも同じようなでももっと短いコメントを投稿したのですが(公開されるかはどうかは知らんけれど)、自分に帰ってくる部分もあるので自戒の意味も込めてメモ代わりに、と。

2006年02月01日

日本でも今夏に UWB が利用可能に

ちゃんと追ってなかったのですが、情報通信審議会で UWB のことも議論していたのですね。

UWBが2006年初夏にも日本で利用可能に,出力許容値に一部猶予措置も - モバイル - Tech-On!

総務省の情報通信審議会は,広帯域無線技術であるUWB(ultra wideband)の日本での出力許容値案をとりまとめた。この案は総務省が2005年10月のITU-Rの会合に提出したものをベースに,一部の周波数帯での干渉回避機能の装備に最大2008年末までの猶予期間を設けたものになっている(関連記事)。総務省は近日中に同案に対するパブリック・コメントを募集し,2006年3月末までの答申を目指す考え。早ければ,2006年初夏にもUWBシステムを搭載した製品が日本で利用可能になる見通しである。

先だってのエントリ「ワイヤレス技術の標準化:分裂と統合」で触れたように、IEEE802.15 の TG3a タスクグループで議論されていた UWB を使用した無線方式の標準化作業は断念しており、市場でデファクトを狙いましょうということになっているので、WiMedia が推す「Certified Wireless USB」対応製品(まずは Wireless USB 対応 USB アダプタなのかな?)が夏ごろに向けてざざっと市場に出てくるのでしょう。

ただ、実装にはいくつか条件もついているようです。

このほか,最終報告書案には,他の無線システムとの共用をはかるために,(1)屋内利用限定,(2)USBのホストとなる機器には交流電源がつながれている必要がある,(3)航空機内,船舶内などでの利用禁止や玩具への使用禁止,(4)利用密度や利用シーンなどUWBシステムの使われ方の実態が大きく変わった場合は技術的条件を見直す,(5)DAAの有効性については関係者の合意に基づく実証実験での確認が必要,(6)既存の無線システムに有害な電波干渉を与えた場合は,技術的条件を見直す,などといった条件が盛り込まれた。

こう見ると、メーカーにとっては PC 周りで様子を見て、家電へ応用するというのが無難なシナリオなのでしょうかね。

2006年02月04日

RTCカンファレンス Vol.9『ライブドア事件とこれから』

しばらく前(2/1)になりますが、RTC カンファレンスに参加してきました。前回申し込んだのですが、都合が付かず、今回初めての参加です。

内容というか進め方は近江商人 JINBLOG さんがまとめていらっしゃるとおり

(以下引用中のリンク先については、今回のカンファレンスに言及したエントリへのリンクに変更してます)

冒頭まずは保田さんから、ファイナンス観点での事件の振り返り。ライブドアマーケティングと投資組合、マネーライフとの間で発生したファイナンスのギミックから、収益の誇大計上、株式100分割、株価吊り上げ、といったポイントまでをホワイトボードと参加者との質疑応答形式で進めてくださいました。いつもながら、本当にわかりやすい! 

<中略>

続いて、新聞労連の委員長である美浦氏ガ島通信藤代氏のトークセッション。ガ島氏のマイク回しがキレていたおかげで、美浦さんの検察報道に関する知見をたいへん分かりやすく伝えていただけたように思います。

まずは配布資料にあった検察庁の機構と東京地検特捜部の組織図を元に、「体制の守護神」「服を着た国家権力」と言われる検察の姿を詳らかにしてくださいました。おそらく(私の知る限りでは)学校教育で検察について知る機会はほとんどなく、むしろ包み隠されている領域だと思います。そこをわかりやすく解説くださったので、たいへんためになりました。

これらの話を聞きながら、今回のライブドア(及びライブドアマーケティング)と投資組合の関係って、ライブドアだけに留まることではなくて他の上場企業でもありうることなんじゃないか(だってファンド持っている会社って結構多いよね)とか、検察の考える「正義(=『行き過ぎた新自由主義への警告』)」が今回執行されたタイミングが日本版 SOX 法(とか内部統制とかそういう領域)へどうつながっていくのか、というあたりが頭の中にモヤモヤっと疑問として浮かんできました。

前者については、オールドエコノミー側にいる人の中でもどきどきしている人は少なくないと思うのです。叩けば埃が出てくるのはどこにだってあるものだし。そういう人達へのある種の免罪符(または「ガイドライン」?)としての日本版 SOX が出てくると、目に見える形での補助線が惹かれるのじゃないのかな?今回の流れには、そういう補助線を示すきっかけとしての意味があったのじゃないのかな、と思ってみたり。

あと、普段は参加者でケーススタディを実施しているようですが、今回のケーススタディの場合だと、プレーヤーとしてもうちょっとオールドエコノミー側の人がいたほうが面白いかもしれませんね。あとは、楽天の三木谷さんとか。

この後に用事があったので懇親会には参加せずに「出口に一目散してしまい、一期一会どころか名刺交換もできずに」さっさと帰りましたが、いろいろな視座を獲得できた非常に面白いカンファレンスでした。また今度も参加しようかと思います。スピーカーの皆さん、運営の方々、どうもありがとうございました。

2006年02月08日

Google、Skype がスペインの WiFi ベンチャーに出資

韓国出張を無事終えて(昨夜はずいぶんチャミスルを飲みました……)今日の午後、羽田空港に到着しました。

さて。

このブログを読んでいる友人と、少し外れた領域の話をメールでやり取りしているときに「こんなのがあるけれどどうかね?」と紹介してもらったネタ。何かというと「Google、Skype がスペインの WiFi ベンチャーに出資したというニュースが Lightreading に出てるけれど、どうよ?」と。

通信インフラって「バザール」的に成立させるのってうまくいくのかね?単なる実験かも知れないよね?という感じのニュースです。

Google, Skype Back WiFi Startup

まずはざっと記事を抜粋してみましょう。

Google and eBay Inc. division Skype have invested in the Spanish start-up company FON , whose software turns home wireless routers into WiFi hotspots for broadband sharing among a worldwide community of "foneros."

Google and Skype joined VCs Index Ventures and Sequoia Capital in a $21.7 million round led by Index, according to a statement released Sunday. The individual funding contributions of the investors were not disclosed. (See FON Raises $21.7M.)

Index Ventures がリードを取る案件で、Sequoia Capital と Google と Skype がスペインのスタートアップの "FON" に出資した、と。FON が調達した資金は 2170 万ドル。

ちなみに投資してないものの Cisco Systems の routing group の副社長である Mike Volpi が、Skype 創業者の Niklas Zennstrom などと並んで Fon の board member として参加。

FON’s goal is to create a global network of shared WiFi connections. To join the network, a broadband customer signs up on the FON Website, then downloads some software onto his wireless router that turns the router into a wireless hotspot. He is now a member of the FON community -- a “fonero.” He then places his router near a window so that other foneros roaming around can pick up the signal.

The WiFi sharers can choose either to charge and be charged for shared WiFi usage with other members, or to participate on a share-and-share-alike (free) basis. They can also stipulate how much total bandwidth is shared, and set security levels to ensure that local PC assets can't be touched from outside.

FON の仕組みは次のような感じ。

・FON の web サイトから FON コミュニティに登録して(登録メンバーは "fonero" と呼ばれる)無線 LAN ルータで動作するソフトウェアをダウンロードする。
・ダウンロードしたソフトウェアが動作するた無線 LAN ルータを窓際に置くと、近くにいる他の fonero メンバーがそのルータをホットスポットとして利用することができる。
・fonero に利用させるに当たっては有償モデルと無償モデルがある。
・ルータで動作するソフトウェアを設定すると、帯域制限やセキュリティレベルをセットすることが可能。

Skype is facing a barrier to mainstream use because its VOIP service is still very much tied to the PC, where the broadband connection is. Skype is WiFi-ready, and might become more popular if wireless broadband was more available.

Skype にとっては、現時点では PC のみで Skype の音声サービスが利用可能であることがメインストリームになるための障害になっていると。そのため WiFi ベースのワイヤレスブロードバンドがもっと普及すれば、現時点で WiFi-ready な Skype が音声ツールのメインストリームになれるのでは、と狙っているようです。

Google has installed a WiFi network in Mountain View, California, and has entered a proposal to build a larger one in San Francisco. (See SF Muni WiFi in Low Gear.) Analysts say a key logistical problem in such projects is the placement of enough wireless access points to achieve seamless coverage. By enlisting wireless routers in the home, FON may provide part of the answer. (See Google's Own Private Internet.)

一方の Google は、Mountain View や San Francisco で展開(予定)している WiFi サービスにおける問題を解決する手段として FON に期待をかけているのでは、とアナリストが分析しています。

FON plans to make its profit by charging a fee from members called “Aliens” who use other members' wireless hotspots but don't share their own. FON says it will share 50 percent of those usage fees with ISPs, who might naturally feel a little left out.

Broadband service providers such as cable MSOs, telephone companies, and independent ISPs may lose revenue from new broadband service sales if broadband sharing communities like FON prove successful. Some broadband providers already expressly prohibit users from sharing the service outside the home.

FON の収益源は非 (fonero) メンバーが FON サービスを利用する際に支払う利用料を予定していて、その際の利用料の 50% は接続に使用される ISP に還元する、という構図を描いているようす。ただ、こうしたビジネスモデルは ISP、ケーブル TV、地域電話会社等のインターネット接続ビジネスの減収を招く可能性があるので、戸外からサービスを共有して利用することを禁止しているサービスプロバイダーがいくつかある、と。

記事の紹介はこれぐらいにしておいて、読んでいてふつふつと「ホントにこんなモデルがうまく行くのかいな」と疑問が湧き上がってきました。

まず、無線 LAN ルータでどうやってソフトウェアを動作させるのかという点。市販の無線 LAN ルータは、専用のファームウェアで動作しているのでそんなに簡単に別のソフトウェアを動かせないような気がします。うがった見方をすれば、裏側にチップベンダーとか特定のブロードバンドメーカーもいるんじゃないのか、と。

また、こういう互助会または共済的な仕組みだとある程度の数のユーザが参加する可能性はあっても、通信インフラとして快適に利用できるまでスケールしないんじゃないの?という気もします。Skype は(アーリーアダプターから)メインストリーム市場に拡大したくて投資していると記事で紹介されていましたが、通信インフラとして快適に使用できるレベルまでスケール(&ホールプロダクト化)しないと、メインストリームまで広げていけないような気がします。

直感的にはうまくいくとは思えないので、Google / Skype がどこに刺さってるのか知りたいのですが、たださすがに Cisco や Sequoia Capital といったビックネームが出てくると、何かあるのか/何か隠されてるのかと思うんですよねぇ。

まあ、時間を見つけて地道に FON コミュニティに入ってみることにしますか……

2006年02月09日

ケータイ電話向けの無線LANチップセット

ケータイ向けという風に紹介されていますが、どこまで汎用性があるのかが気になります。

2日ほど前の日経 Tech-On にこんなニュースが出ていました。

携帯電話機向けの無線LANチップセットが登場,待機時の消費電力は80μW

早稲田大学 大学院 国際情報通信研究科教授の佐藤拓朗氏が興したベンチャー企業のキーストリームは,消費電力が小さい無線LANチップセットを開発した。2006年1月からサンプル出荷を始めており,サンプル価格は5000円。2006年4月には量産に移行する予定にしている。

 同チップセットは,ベースバンド処理用の「KS7010」とRF処理用の「KS3021」で構成する。無線LAN方式は,2.4GHz帯を利用するIEEE802.11gに対応する。

こういう消費電力が小さい無線 LAN チップは、ケータイ電話だけではなくてポータブルシリコンオーディオデバイス(iPod、iRiver……)やら、携帯ゲーム機(PSP、ニンテンドーDS)等にも利用することが可能かと。まあ少なくとも WiFi ベースの通話をしているとそれなりに発熱する N900iL のような端末には適しているのかも知れません。ホントはノート PC やら PDA でも採用されるといいのですが、こういうデバイスはプロセッサよりも液晶の省電力化が大きな課題なので享受可能なメリットが小さいかな、と。

先のエントリでも多少触れたように、WiFi ベースのインフラ展開には思惑が先行して実際には問題があるケースが多いので、端末サイドの展開がどこまで想定通りに行くかわかりません。しかし、「スリープモードの低消費電力化」の汎用性があるのならば、WiFi チップを足がかりとして、WiMAX のようなその他のワイヤレス技術へ展開することで面白くなるのかもしれません。

VoIP プロバイダー Vonage の IPO

VoIP 事業のベンチャー企業 Vonage が、IPO するみたいです。

Vonage Files for $250M IPO

Vonage Holdings Corp. Wednesday filed for a $250 million initial public offering and revealed that it has tapped former Tyco International Ltd. executive Michael Snyder to replace its long-time CEO, Jeffrey Citron.

Later this month, Citron will become Vonage's chairman and "Chief Strategy Officer."

<中略>

Vonage announced its intentions to hold an IPO last year, but the company subsequently held discussions with several potential acquirers. (See Vonage Hearing Buy-Out Bids.) Citron reportedly never heard the Skype-style valuation he was looking for, and now is apparently defaulting to the IPO exit plan. (See EBay Buys Skype for $2.6B.)

IPO で調達する資金は 2 億 5000 万ドル。IPO に備えて CEO には Tyco International の幹部だった Michael Snyder を迎え入れ、これまで CEO だった Jeffery Citron は会長兼 "Chief Strategy Officer" となりました。

去年 Vonage は IPO を宣言しましたが、その後いくつかの買収交渉を行っていたようすです。しかし、Skype のような大型買収とならなかったのでやっぱり IPO することにした、という感じ。

Vonage の IPO の話については、過去にも取り上げました。そこでも取り上げたのですが、大量の資金調達をした Vonage に IPO の話がなかったのは、今回 CEO を外れた Jeffrey Citron が 90 年代に Nasdaq の SOES を濫用したために上場会社の経営を禁止されているからだ、というのが根っこにあるみたいです。

そんな状況でも、顧客獲得費用はだんだん高くなるし、広告宣伝費もそれなりに必要になってきてだんだん資金が足りなくなって来たけれど Private Equity での資金調達ももうさすがにできないし、やっぱり IPO しましょう、ということですね。

前にも書いたのですが、インターネットを利用した音声アプリケーション分野での競合状況は結構厳しいので、こういうモデルがどこまで通用するのか目の端で見ておくことにしましょう。

2006年02月20日

「働く」ために最も必要とされる能力、そしてアメリカ生活から学んだもの

知り合い教えてもらったブログ。ハーバードビジネススクールに在学されている人のブログで、ザーッとエントリを読んだのですが、いろいろ考えらせられることが多くて、そのなかでも気になった引用があったのでそのエントリを含めてそのブログを紹介(厳密には引用の引用の引用なのですけれど……)。

わからん!

玄田 有史 (2005). 働く過剰 大人のための若者読本.NTT出版

就職し、働き出すと、ほとんど毎日が「わけのわからないこと」だらけである。上司からの指示、顧客からのクレーム、会社の方針、商品やサービスの意味、それから自分が働いている意味…。そんなわけのわからない毎日に対して、「わからないから、やっていけない」と、途中で断念してしまうことが、個人にとっても、会社にとっても、最も避けたい状況なのだ。そんな「わからん」経験のなかで、自分なりに工夫し、パニックにならず、良い意味でウロウロできること。そんな「わからない」ということに対するタフネス(たくましさ)こそ、今も昔も変わらない、働くなかで最も必要とされる能力なのである。(pp.268- 270より一部抜粋)

働く過剰 大人のための若者読本
玄田 有史
NTT出版 (2005/10/25)
おすすめ度の平均: 5
5 経営者、人事こそ読むべきだと思う
5 多くの人に読んでほしい本
5 本書で問題提起を

めちゃくちゃ忙しいはずのビジネススクールの生活の中で、「『わからない』ということに対するタフネス」というところに目が行くのはすごいですよ。

このブログに共感を覚えたのは、僕もしばらく前にこのブログの中の人と同じ年齢のころにアメリカの大学で1年半ほど研究員をしていたことがあって(それも自分がアメリカに行きたいという思いをあまり強く持ってなかったにも関わらずとんとん拍子でアメリカに行くことになったので、今思えばディテールの想像不足だった……)、HBS ほど過酷なスケジュールではないものの、アメリカでの生活時間を経ていく間にそれなりに似たような思いを持ったからです。

ここでも引用されているエントリですが、他の世界で生活するということについて、これぐらいうまく言いえているのもちょっとうなります。

慣れるまでは、いちいちはっきりさせるという作業は苦痛だし、曖昧さと甘えの素敵な環境から移ってくると、むしろこのカラフルな毎日にひたすら疲れ果ててしまう。実際、日本のサービスに慣れた人の多くが、ものごとをはっきりさせることが、アメリカに住んでいていちばん面倒なことだといっている。解決のためのアドバイスはない。慣れて、前向きに自分の周りを動かすことを少しずつ学ぶしかない。決してそんなに大変なことではないが、気持ちの問題なので、多少時間がかかる。

一方で、小さなことですごくいいなと思うことがたくさんある。ルールがはっきりしているので、フェアだ。議論して勝つと、物事が動くし、ルールがはっきりしている分、残りの部分は個人が好き勝手やっている。マクドナルドのおばちゃんと世間話したり、学食のおばちゃんと天気の話をしたり、Unitedのおばちゃんがサンドイッチを4列向こうから投げてきたりする毎日が、ぼくは個人的には結構好きだ。

こういうカラフルなアメリカの日常を経験して今思うのは、日本という国も捨てたものではなくということ(ホントにアメリカの日常は「カラフル」なのだけれど、基本的には「気持ちの問題」なので慣れるのに多少時間がかかるだけです)。帰国後は、アメリカの日常で感じられるのとは別の種類の「すごくいいな」と思うことがたくさんあることを改めて実感します。

ご存知な方がどれぐらいいるかわかりませんが、全日空の機内誌の宣伝に「おもてなし」というフレーズがあります。アメリカで生活することで初めて、奥ゆかしくて静かな、この「おもてなし」という言葉の意味を、実感を伴って(または欠落感と共に)理解できたような気がします。そして、その「おもてなし」が自然に感じられる日本の日常生活が、アメリカの生活同様に、結構好きです。

2006年02月24日

Fast 50 に選ばれる CEO @ Ruckus Wireless

シリコンバレーにいる知り合いから「僕のお手伝いしている会社の CEO が Fast 50 に選ばれました」と連絡があったのでみてみたら、リストにはビル・ゲイツやビル・クリントンといった人達がいてなかなかすごいところに選ばれているようなので、ちょっと紹介。

Fast 50: Report From the Future

Ruckus Wireless Named Fast by Fast Company

この写真の女性が、Fast 50 に選ばれた Ruckus Wireless CEO の Selina Lo さん。Selina さんとは、彼女が関わった別の会社と仕事していたこともあって、何度か話したことや一緒に飲んだことがあります。とても聡明な方で、すごくエネルギーがあって、本来の意味での眼力(めぢから)がある人です。ちなみに酒も強くて、テキーラをがんがんあおっていたのは、僕の周りではちょっとした伝説です(笑)

彼女の会社、Ruckus Wireless も MIMO っぽい並列伝送方式を使うことで、安定して高速な無線 LAN 環境をリビングで実現するプロダクトを提供してます。802.11n や WIreless USB や IPTV の実用化が進んでいる現在の状況からすると、かなり面白いポジショニングにあることは間違いないでしょう。

知っている人がこういうところに選ばれているのって、ちょっと嬉しいので紹介でした。

2006年02月26日

サーチエコノミー/アテンションエコノミー試論 - ET 研

すこーんと抜け切れているわけではなく、73% ぐらいに中途半端に晴れ上がった土曜の朝。先月お休みだった Emerging Technology 研究会に行ってきました。

今月のテーマは「サーチエコノミー/アテンションエコノミー試論」 ということで、CNET Blogger 渡辺さんのエントリ「エンタプライズサーチ事始め」を皮切りに、

 ・サーチエコノミー/アテンションエコノミーの競争資源とは
 ・予想される業界構造変化は
 ・企業戦略に与える影響とは

について考えて見ましょうというもの。

最初、エンタープライズサーチについて渡辺さんから説明がありました。その説明については、先日開催されたエンタープライズサーチカンファレンスでの講演をベースにしているようなので、次の記事をみていただくと雰囲気をつかめるかもしれません。

検索プラットフォームは企業システムでミドルウェアとしての地位を獲得する

そのあと、サーチエコノミー/アテンションエコノミーの方向性に話題を進めようとするのだけれど、どうしてもエンタープライズビジネスのアリ地獄からなかなか抜け出せず(って、僕もその話題を振ってたほうなのでw、なんとも言えませんが……)、ある意味社内ミーティング状態(今日のミーティングの落としどころはどこ?みたいな)。後半のメディア論的な話題だと、ある意味無責任な分析や論評が可能で高揚感もあるのですが、エンタープライズ系の話題が織り交ぜられてしまうと、妙に現実的過ぎて「総論賛成、各論反対」みたいな状態になってました。

で、この会の間じゅう耳がしくしく痛い状態だったので、後半の議論に微妙についていってなかったりするのですが、アテンション(エコノミー)領域に絞ってみると、利用者の置かれたコンテキスト(のデザインとか分析とか)というのがキーじゃないかなと、会の間じゅう、頭の片隅で考えていました。またはアフォーダンスの追求、というのも別のポイントになりえるかもしれない、とか(アフォーダンスについてはこことかここを見てください)。

アテンションが意識に働きかけることだとすると、アフォーダンスは無意識に働きかける。または、アテンションとアフォーダンスをうまく使い分けたインタフェースを提供することで、その仕組みの習得コストが少なくなるわけです(Google や iPod がそういうデザインですね)。そこをうまく仕分けしてデザインするためには、競争資源への意識ももちろん必要ですが、利用者のコンテキストの分析と再デザインもわりに重要なんじゃないかな、と思ってみたりしました。

この辺の議論をできればなぁ、といまさらながらに思うのですが、エンタープライズ分野の話から始めちゃうと、リアルすぎてちょっと身につまされる感もあったりして、なかなか難しいですね。