先週の土曜日午後はひさびさの ET 研。午前中は大学院のゼミ。
まずはゼミの話から。今回は元々興味があった分野の議論が展開。特に前半の(放送分野における)プラットフォームの話は、午後の Google Android の話にも関係あるし、いろんなところに繋がる重要な概念のはず。
どこかでまとめて時間をとってまとめられればよいのだけれど、どこから始めればいいのだろうか。手元にあるのは次の本だけれど、これ以外にもなにがあるのか?
アナベル ガワー マイケル・A. クスマノ Annabelle Gawer Michael A. Cusumano 小林 敏男
有斐閣 (2005/03)
売り上げランキング: 133963
◆
で、午後の ET 研。会場はいつものように茅場町。テーマは Google Android。手元のメモから気になるところを展開するとこんな感じ。
○Non-Internetへの広がり
Google にとってはインターネットは大きな存在。Google が持つテクノロジーと広告事業モデルがインターネットでうまく結びついたために、これだけの存在になることが出来た。で、アナログ情報(音声)とデジタル情報(データ)の交点に位置するケータイ OS Android は Google が Non-Internet に活動の領域を広げようと展開する取り組みの一つと捕らえられる。この動きがインターネットの領域を拡大するのか、それともインターネット外の領域に進出(侵出?)するのか、いずれの文脈でとらえるのが正しいかという評価は少し置いといても。
Non-Internet という視点については、現在のモバイルネットワークとインターネットの関係についても念頭におく必要があるはず。モバイルネットワークはかなりインターネットとは異なる成立の歴史があるわけで。
○Non-PC への広がり
いうまでもなく Android はケータイ OS。ということは Google のサービスと PC 以外のデバイスとの連携を可能にする。Android は Linux ベースの OS であるが、組み込み Linux はケータイ以外のデバイスへの適用についても種々前例があり(カーナビ、家電製品、各種制御機器で広く使用されている)、それらの経験ベースを生かすことが可能。
Non-PC へ広がると、そこで生成される情報(テキスト以外で、たとえばセンサー情報とか)についても Google のプラットフォームで構造化させることができる。
この二点を念頭に置くと、Google と PC インターネットの結びつきが強いことがよくわかる。
○広告だけに頼る事業モデルから、複数事業で構成される事業構造の変化
現在の Google はかなり広告モデル頼みな状況。これは企業としては脆弱。というわけで、複数事業への展開策としていくつかの取り組みを進めている。Google Apps もそうだし、Finance 絡みのサービスもその一つ。700MHz のライセンスを取りに行くのもこの文脈で整理できるかもしれないわけで、そこには Android がパーツとして含まれるのだろう、と。
○(組み込み業界における)ソフトウェア開発プロセスと収益モデルとの関係の変化
Android によって組み込みのソフトウェア開発の世界にツールとしてのオープンソースだけではなく、開発プロセスとしてのオープンソースおよびバザールモデルが持ち込まれるきっかけとなる可能性がある。開発プロセスのモデルとしては Mozilla(Firefox、Thunderbird)に近いのかもしれない。プロプライエタリな開発プロセスおよびライセンスに基づく収益モデルではない形の収益分配モデルが成立する可能性がある。
このあたりの話は、実は午前中のゼミでも少し触れてました。製品開発プロセスと収益モデルが流動的にあるのは、なにもレガシーなソフトウェア業界だけの話ではなくなりつつある、ということかと。
○キャリアのアンバンドル~MVNE 環境の整備
Android そのものよりも、Android を取り巻く環境とか文脈をみわたした場合、このあたりが気になる。Verizon のような米系キャリアの動きとか、総務省の動きとか。先にあげたモバイルネットワークとインターネットの関係を読み解きつつ、その過程で Ericsson、Nokia、Qualcomm などの旧大陸の住人の動きもあわせ見て(Intel はどっちかしら?)、Google の 700MHz ライセンス周りの動きを見ていけば、キャリアのアンバンドル~MVNE 環境の整備あたりの筋書きが朧気ながらも見えてくるのかも。
と、つらつらと挙げてみましたが、いずれをとっても結構やっかいな話ばかり。それだけ Android には可能性があるということなのか、それとも思い過ごしの幻想か。
◆
しかし、いずれ日本も 700MHz の割り当てについての議論を深めなくちゃいけないんですよね。とりあえず 40MHz は移動体通信に割り当たりそうですが、ここの割り当てと OHA にドコモ、KDDI が参加していることになにか関係があるのか、ないのか。