ゲーム理論で取り上げられる問題の名前を冠しているが、経済学についての本ではなくてリチャード・パワーズの小説。歴史と家族と現代の課題についての小説であり、非常に刺激的である。パワーズの小説を読むのは「舞踏会に向かう三人の農夫」に次いで二冊目。
とても Structured な小説。勢いに任せて頭から読みこなしていくと、途中でわからなくなる(可能性が高い)。行きつ戻りつしつつ、3つの物語の重なりと差異を確かめつつ読まなければならない。まるで「囚人のジレンマ」を理解し、問題を考える作業に似ている。
この小説から得られるものがあるとするなら、次の2つのフレーズである(だった)。
いまどこにいるのかは、どうやってそこにたどり着いたのかに依る
自分の意志で行動するよう、他人にけしかけてもらう必要がある
これだけを見ると主体性に欠ける受動的な雰囲気を感じるが、キャッチーでシンプルな構造が良きことをもたらすわけではない。単純化した意志決定が全体と個体の両方に利益をもたらすというわけではないのである。
最後まで読んで、またもう一度読みたくなる小説である。構造的ななにかが好きな人には強くおすすめする。
みすず書房 (2007/05/24)
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