会社で「この本を読め〜っ」と指示があったのでぱらぱらと読んでみました。成長・変革する組織を作り上げる、ということについての本です。
内容についてあれこれ言う前に、2カ所ほどすこし長めですが引用します。
下から見れば、「上司が自分の言葉で語っていない」ことが決定的に大きな問題となる。「自分の言葉で語っていない」というのは、当たり前の感性を失っていない人は聞いていればわかるものである。「自分の言葉ではない言葉」は心に響かないし、信頼もされない。
部下には「よく話し合え」と言っている当の本人たちが、腹を割って話しているようには見えないのも、建前と本音のダブルスタンダードが当たり前になっているところではよく起こる現象である。通り一遍の話をすることはあっても、お互い本気でぶつかり合って「仲のいいけんか」ができるような関係になっていないのは、幹部どうしでは特に多い。
加齢と共に著しく減退していくのが人の話を聞く能力である。よくありがちなのは、話を聞いている本人は「聴いているつもり」なのに、相手はまったくそう受け取っていない状態である。なぜそんなことになるのかと言えば、たとえば、聞いてはいるが、すぐに我慢しきれなくなって相手の話を途中でさえぎってしまう、といったことが起こるからである。待ちきれずに結局、自分の意見を言いはじめてしまうのだ。これは、話を最後まで聴き終わる前に、途中で話の内容を、自分が勝手につくったストーリーで予測してしまうから起こる。話を聴いているつもりでいて、実は自分の聞きたいように、自分の用意したストーリーに沿ってしか聞いていないのである。
なんだか琴線に触れたんですよ、この2カ所。こういうのって、折にふれて客観的に言われないと忘れがちなだね、と。というわけで引用を。
で、どういう本だったかというと、組織を進化させる価値観を共有して、さまざまなレベルでの信頼感に支えられながら、内発的動機をもつ社員によって変革する組織をつくる、ということについての一つの型を示した本。この本で提示されている考え方は特に新しくなくて、まず、組織環境の側面では「経営」と「仲間」への信頼感に支えら得る「場」を作り上げることが必要であり、そして「スポンサーシップ」と呼ばれる広義のリーダーシップによる組織運営を行うことが、組織を変革につながるというものです。
少々強引かもしれませんが、社内でのコミュニケーションを考えるための条件と、実践の際の方向感を(精神論的な側面をすこし強めに)重点的に整理して示した本だといってしまっていいのかな、と。ようするに、変化しはじめようという組織の中で起きること(当事者にとっては起こすこと)を描いているわけですから。
このような段階にいたるまでには、変革の理由である「危機感」を徹底的に議論しなければならない。ただ、それはそんなに簡単ではないですよ。「危機感」というは一般的には非常に漠然としていて議論するのが困難ですから。この「危機感」の共有が組織変革の一番やっかいなところだと思うのですが、そこにはちょっと届いてなかったですね、この本は。
日本経済新聞出版社 (2007/05/16)
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「うんうん!」と思える内容でした
経営者は社員に対して働く意味と生きがいを伝えているか
オススメの一冊




コメント (4)
『危機感の共有』・・・本当に難しい問題ですね。
基本的情報を共有していない者同士の間では、まずあり得ない。まして労使間では、天地がひっくり返っても無理なのでしょう。
そこに言及すると、それだけで本がもう一冊書けちゃうし、根本的に論旨が変わってしまうので、著者としては精神論を中心としなくてはならなかったのだと思われます。
会社が「この本を読め」と指示するのに丁度いい塩梅の内容なのでしょうww
投稿者: LonesomeCowboy | 日時: 2007年7月24日 12:04
この前、本屋でこの本見つけたとき、ちょっと読みたいな、と。
でも会社で指定されているとなると、あまり刺激的なこと書いていないのだなぁ、と予測でき・・・
かく言うおいらもやる気無し男に現在成り下がっているので、それを上手く解析している本なのかナァと思ったけど、違うみたいだね。
まぁ、買わなくて良かったってところかなぁ。
投稿者: ヒジー | 日時: 2007年7月25日 01:34
> LonesomeCowboy さん、
いいこというねー。これ↓ね。
> 労使間では、天地がひっくり返っても無理
「労使」というフレームワーク設定がいいですね。
ちなみに、この本を読んで感想をある程度まとめてから「読んでねー」といった人と話をしました。「危機感の共有」が不足してるんじゃないかなー、という「危機感の共有」を目的としていたのですが、どこまで共有されているんだか。
「加齢と共に著しく減退していくのが人の話を聞く能力」ですか……厳しいなー。
投稿者: ayustety | 日時: 2007年7月26日 01:02
> ヒジー さん、
読んでみたいならこの本、貸しますよ。2、3時間もあればぱらぱらと読めます。難しい話はなんにもないし。
でも、僕が読んでいて面白かったのは別の本で、金井壽宏「経営組織」(日経文庫)と沼上幹「組織戦略の考え方」(ちくま新書)かな。会社組織を理解するさまざまな視座をコンパクトに提供してくれる本です。
これらを読んでから『なぜ社員はやる気をなくしているのか』を読むと、なんだか食い足りないんだよね。
投稿者: ayustety | 日時: 2007年7月26日 01:10