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「ちゃんといいかげんに生きる」 - 『働く過剰』を読んで。

先に取り上げた、玄田有史氏の『働く過剰 大人のための若者読本』(NTT出版)を一から読みました。働くことの意味を考えるうえでの good reference かな、と。

で、出張準備しなくちゃ……なので、気になったところだけ抜粋しておきます。

はっきりといっておきたい。まともな企業は大学を卒業したばかりの学生に即戦力など、まったく期待していない。<中略>変化の激しい時代には、たった四年やそこらで見につけた知識などあっというまに過去のものとなることを、まともな会社や人事はよく知っている。(p.268)

安定をつかむとは、その場所にいさえすればノーリスクで確実なリターンが得られるような、思考停止を許される安住の地を見つけることでは、すでになくなっている。むしろ安定した生き方に必要なのは、今後自分に起こる可能性がある最悪の事態や状況を、今の段階で、できるかぎりリアルにシミュレーションすることだ。そして、その最悪の発生を未然に防いだり、実際に起こってしまったときの被害を最小限に抑えること、そのために今でき得ることをコツコツと続けていられる状態を、真の安定というのだ。(p.255)

就職し、働き出すと、ほとんど毎日が「わけのわからないこと」だらけである。上司からの指示、顧客からのクレーム、会社の方針、商品やサービスの意味、それから自分が働いている意味……。そんなわけのわからない毎日に対して、「わからないから、やっていけない」と、途中で断念してしまうことが、個人にとっても、会社にとっても、最も避けたい状況なのだ。そんな「わからん」経験のなかで、自分なりに工夫し、パニックにならず、良い意味でウロウロできること。そんな「わからない」ということに対するタフネス(たくましさ)こそ、今も昔も変わらない、働くなかで最も必要とされる能力なのである。(p.270)

働くために必要なのは「ちゃんといいかげんに生きる」ことである。生真面目に「ちゃんと」しようと考えすぎれば、途中で生き苦しくなって働けなくなってしまう。反対に、無頓着で「いいかげん」に生きるのが過ぎれば、後々後悔することも出てくる。ちゃんといいかげんに生きるなどと言えば、若者には矛盾しているように聞こえるかもしれない。しかし矛盾していようと何であろうと、それこそが働く大人の多くが感じている仕事の核心ではないのか。(p.275)

あと、ここもちょっと気になる。

三〇代男性ホワイトカラーの長時間労働の普遍化は、企業にとって、三つの意味での「喪失」につながる。一つは、能力開発機会の喪失である。二つは、労働者の会社に対する信頼性の喪失である。三つは、企業が事業再構築をしようとしても、労働者に過度の負担を強いることによって、結局は業務改革に取り組む意欲が喪失されることである。(p.93)

追われると、終わりなのかもね。

働く過剰 大人のための若者読本
玄田 有史
NTT出版 (2005/10/25)
おすすめ度の平均: 5
5 経営者、人事こそ読むべきだと思う
5 多くの人に読んでほしい本
5 本書で問題提起を

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コメント (2)

SW:

いいですね、これ。的を得ていると思えます。

SW さん、

これらのフレーズって働き始め~2,3年目の社会人にとっては結構ヒントになるとおもうんですよ。でも現実は、こういうことを言ってもらえるのは 20 人に 1 人ぐらいなんじゃないかな、と思ったり。

そういう意味で翌日のエントリに書きましたけれど、マネジメントとか、そうではなくとも中堅クラスに役に立つことも記せばよかったかと。放っておくと、気合とか時間が解決するとか言い出しそうだし(帝国陸軍じゃないんだから)。

あとは、長時間労働が常態化している人向けに何かヒントになることはないかなとも思ってみたり。「ちゃんといいかげんに生きる」というのは一つのヒントのように思えるのですが、それだけじゃちょっと……

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2006年04月02日 10:47に投稿されたエントリーのページです。

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