しばらく前から関係方面で話題になっていたソフトバンクによるボーダフォンほ買収が、どうやら具体化してきた様子。
英ボーダフォン、日本法人をソフトバンクに売却へ--株式譲渡交渉を認める
ソフトバンクとしては、孫社長以下がものすごくいろんなことをして 1.7GHz の周波数帯のライセンスを取得したのは、先日も紹介した「風雲児たちが巻き起こす携帯電話崩壊の序曲―知られざる通信戦争の真実」にも書かれていて周知の事実ですね(って、2回取り上げているからといって、日経コミュニケーションとはなんにも関係ないですから。念のため)。
でも、実際に取得できた周波数帯域はたったの 5MHz しかなくて、追加周波数をもらおうとすると 250 万人以上の加入者を確保しなければならないわけです。250 万人以上の加入者を短期間で確保するためには、音声サービスを提供せざるを得ず、音声サービスには全国展開が必要、つまり大量の基地局設置が必要です。3G ベースの基地局を一から全国展開すると、3G 基地局の価格がある程度下がっているとはいえ、ボーダフォンレベルのエリアカバーのためには 5000 - 7000 億程度(含む中継設備)は必要(なはず)です。
音声サービスには経済性が合わないと考えていたのか(どうかはホントのところはわかりませんが)、サービス開始時に提供するのは音声サービスではなくて、データ通信サービスを W-CDMA で提供するとのことでした。データ通信サービスだと音声サービスよりエリアカバーする必要がなくなります(接続相手は携帯端末じゃないので)。人口分布を考えると、極論では首都圏、関西圏、中部圏+αぐらいでもよいわけです。
ただ、現時点で見えているデータ通信サービスのユーザなのは、PHS のデータ通信ユーザ+無線 LAN サービスのユーザです。今のユーザ規模は 200 ± 50 万人ぐらいと言われています。これを取りこみつつ音声インフラを展開しなくちゃいけないのか、マジかよ……というのが、5MHz の帯域を手に入れたソフトバンクの状態です。おまけにソフトバンクが採用する W-CDMA や HSDPA の場合、経済性も考慮にいれると 5MHz で 250 万加入者は無理じゃないか、という噂もあったりするし。
一方のボーダフォンとしては、英国本社的にはノキアやエリクソンといったヨーロッパの端末メーカーだけではなくて、日本の携帯端末メーカーと共同で(3G)端末開発を行いたい、というのが日本に拠点を作った目的の一つ。で、シャープや三洋電機等と端末を(一応)開発したのでその目的は果たしたと(おまけにノキアと三洋電機は合弁会社まで作ったし)。
また、成長性の低い日本市場より、BRIC を含めて高成長市場に投資するための原資も確保しなくちゃならないわけです。あとは次の CNET の記事にもあるとおり。
現在世界戦略の見直しを進めており、成長率の高いインドなどの発展途上国に経営資源を集中させる方針を打ち出している。日本市場については、英国の通信方式であるGSMとは異なるW-CDMA方式を利用していることもあり、Vodafoneの強みである規模の経済効果が出せないといった課題を抱えていた。
と、ここまでが今の環境の整理です。では、今後どうなるかをまったくあてずっぽうで想像してみましょう。
まずは、Vodafone Live! のトップページは緩やかに Yahoo! Live! に形を変えていき、日本最高の PV を誇るサイトの地位を安泰にするでしょう。もちろん Yahoo! のサービスががっつりと無料で利用できるようになります。メールアドレスも気が付いたら @yahoo.co.jp ドメインに変わってしまっているかもしれません。
ケータイサービスそのものも、Yahoo! モバイルフォンという名前に変わりますね。もしかすると、BB フォンで使われている 050 番号も使えるようになるかもしれません。(追記 [3/5 10:30] :050 じゃなくて、FMC 番号として検討している 060(?)かもしれませんね)
なーんて言っていると、NTT 再々編の話に再び火をつけることになりかねませんし(固定と携帯の融合とか)、NTT、KDDI との競合が激しくなると 4G の導入スケジュールにも影響が出てきて、総務省的にも困ったことになるのかもしれません。
また無根拠ですが(全部が無根拠っちゃあそうだけれど……)端末メーカーのラインアップが変わるような気がします。なんだかんだで携帯通信事業者が大変なのは顧客獲得費用で、インパクトを与えるのが端末の仕入費用と販売費用の差額。ソフトバンクがドコモ同様にプレミアムな路線をとると思えないので、バリュープライス路線を進むのは想像しやすいわけですが、バリュープライス路線に進むには顧客獲得費用の抑制は避けて通れない道かなと。それに加えてイメージを変えるためにも、端末メーカーが変わるんじゃないかなという気がします。
そうなることで日本の携帯電話メーカーのポジショニングはずいぶん変わるかもしれません。メモリ会社の合弁(ルネサス:日立と三菱)やネットワーク機器会社の合弁(アラクサラ:日立とNEC)に続いて、パナソニック+NEC という組み合わせはともかくとして、富士通+三菱+シャープなんていう組み合わせの合弁会社設立も、経済産業省の主導でありえるかもしれません。
しかし大変なのは、ソフトバンクに営業を仕掛けていた基地局メーカーの人達でしょうね。直近予定していた、数千億のビジネスがなくなったわけですから……
(追記 [3/5 12:35] : R30 さんのところにソフトバンク×ボーダフォン関連まとめエントリがあります。「ざっと見渡した限り、SBの買収資金の調達方法と、端末とサービスの競争軸の変化あたりがこれからの論点」だろうとのことですが、それ以外も含めて、様々な方々のエントリへのリンクがあり、今回の話のブログ界隈の議論を見渡すには中心点になると思われますので、ご興味があるかたは是非。)
(追記 [3/5 13:07] : 上の追記で触れた R30 さんエントリだけでなく、SW's memo の「ソフトバンク × ボーダフォンの問題整理」でも取り上げていただきました。「モバイル系ではなく、無線系というところがポイント。」と括っていただいて何よりです。電波系といわれたらどうしようかと思いました……)



